Palantir(パランティア)Q3 2025決算分析

投資の探究の道

― AI実装企業は「本物の成長フェーズ」に入ったのか?


Palantir(パランティア)とは何者か?

Palantir Technologies(PLTR)は、米国発のデータ分析・AIソフトウェア企業だ。
2003年に設立され、政府・防衛分野で培ったデータ統合技術を武器に、現在は商業企業向けAIプラットフォームへと事業の軸足を移している。

主なプロダクトは以下の3つ。

  • Gotham:政府・防衛・治安機関向け
  • Foundry:民間企業向けデータ統合・分析基盤
  • AIP(Artificial Intelligence Platform):AIを業務プロセスに組み込む中核製品

Palantirは生成AIモデルを開発する企業ではない。
「AIを実際の業務で使い、利益を生むところまで持っていく」
この一点に特化した、極めて実務寄りのAI企業だ。

AIブームが“実験段階”から“本格導入段階”へ進む中、同社は最も恩恵を受ける立ち位置にいる。


Q3 2025決算のインパクト|数字で見る異常値

2025年第3四半期、Palantirは市場予想を大きく上回る決算を発表した。

  • 売上高:11.8億ドル(前年同期比 +63%)
  • GAAPベースで黒字を継続
  • EPS(調整後):約0.21ドル

重要なのは、「成長している」だけではなく、
利益を伴って成長している点だ。

※GAAPとは?

**GAAP(Generally Accepted Accounting Principles)**とは、米国会計基準のこと。
一時的な調整や特別項目を除外しない、最も厳格な利益算出ルールだ。

PalantirがGAAPベースで安定黒字を達成していることは、
「補正ありきの成長企業ではない」ことを示す重要なポイントである。


事業分野別に見る成長の中身

米国商業部門|+121%という構造的成長

今回の決算で最もインパクトが大きいのが、
米国商業売上:前年同期比 +121% という数字だ。

これは単発の大型案件ではなく、

  • AIPの本格導入
  • PoC(実証実験)から本番運用への移行
  • 既存顧客における契約拡大

といった再現性のある成長パターンによるものだ。

Palantirのソフトウェアは、業務に深く組み込まれるほど価値が増す。
結果として解約率は下がり、契約金額は自然と拡大していく。


政府部門|安定収益の土台

政府・防衛分野も引き続き堅調だ。

  • 長期契約
  • 高い継続率
  • 景気耐性

これらの特性により、政府部門は
商業部門の急成長を下支えするキャッシュエンジンとして機能している。


契約総額(TCV)が示す将来収益力

Q3では、
TCV(Total Contract Value:契約総額)が約27.6億ドル(前年同期比 +151%)
と過去最高を更新した。

特に米国商業TCVの伸びは著しく、
**「将来の売上がすでに積み上がっている状態」**を示している。


今後の注力分野|AIPが成長エンジン

Palantirの成長を牽引する最大の要素は、間違いなくAIPだ。

AIPは、

  • 社内データの安全な統合
  • AIモデルを業務フローへ直接接続
  • 意思決定の半自動化・高度化

を可能にするプラットフォームである。

「AIを導入したが、業務では使われない」
──多くの企業が陥るこの壁を、Palantirは超えてきた。

その結果、

  • 契約単価の上昇
  • 長期契約の増加
  • 高いスイッチングコスト

という、SaaSとして理想的な構造が出来上がっている。


今後の業績見通し

Palantirは2025年通期の売上ガイダンスを、
約44億ドルへ上方修正した。

第4四半期も、

  • 売上成長率:+60%前後
  • 利益率:さらなる改善

が見込まれており、
現時点で成長鈍化の兆候は見られない。


投資先として有望か?バリュエーション分析(実力値)

PER(実力ベース)

過去に話題となったPER 600倍超という数値は、
EPSが極端に小さかった時期や特別利益の影響を受けたものだ。

直近の通常収益・EPSを基準とした
実力ベースのPERは、おおよそ80〜100倍前後と考えられる。

割安とは言えないが、

  • 売上成長率:+60%超
  • 利益率の急改善
  • 強力なキャッシュフロー

を踏まえれば、
成長株として説明可能な水準だ。


PBR

PBRは約20倍前後

無形資産(ソフトウェア・データ・顧客基盤)が価値の源泉である
プラットフォーム企業において、
PBRは参考指標の一つに留めておきたい。


EPS成長率

アナリスト予想ベースでは、
今後数年間のEPS成長率は年率30〜40%程度と見込まれている。

売上成長と利益率改善が同時に進んでいるため、
EPSは売上以上のスピードで伸びる可能性が高い。


※Rule of 40とは?

Rule of 40とは、SaaS企業の健全性を測る代表的な指標で、

売上成長率(%)+営業利益率(%) ≥ 40

であれば優良とされる。

Palantirは今回、

  • 売上成長率:約63%
  • 高い営業利益率

を背景に、
Rule of 40スコア:114% という異常値を記録している。

これは、
「高成長 × 高収益」を同時に達成している企業であることを示す強力な証拠だ。


まとめ|PalantirはAI実装フェーズの本命企業

Q3 2025決算は、

  • 商業AIの爆発的成長
  • 利益を伴うスケール
  • 将来収益の可視化(TCV)

という点で、Palantirが次のステージに入ったことを示している。

バリュエーションは決して安くない。
しかし、

  • AIを「使える形」にする技術力
  • 実需に支えられた成長
  • 利益と成長の両立

を考えれば、
PalantirはAI時代の中長期コア銘柄候補と言っていいだろう。

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